ロイス・ディーツ症候群(LDS)

ロイス・ディーツ症候群とは

ロイス・ディーツ症候群(Loeys-Dietz Syndrome)は血管や骨格を中心に多様な異常が認められる疾患の総称です。比較的新しく分類された疾患で、統計なども整備されていませんが、症例としては1000~3000人程度と非常に稀な病気で、難病に指定されています。
細胞間の情報伝達の役割を果たしているトランフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)という物質は、細胞が組織を形作っていくために大きくかかわっています。このTGF-βの機能障害によって血管や骨格にさまざまな病変がおこると考えられていますが、どのような仕組みで発病するのかはまだ解明されていません。
似たような疾患として、マルファン症候群(Marfan Syndrome)があるため、慎重に診断する必要がありますが、特異的な顔貌があらわれることがこの疾患の特徴の一つです。

ロイス・ディーツ症候群の主な症状

大動脈や骨格に病変が大きく見られることが特徴です。循環器の病変では、全身血管の蛇行や各種動脈の動脈瘤、心臓の先天性の奇形などがあらわれます。
また、特徴的顔貌では、口蓋と鼻腔が繋がってしまっている口蓋裂・蓋垂が二股に分かれている二分口蓋垂、目の間が広い眼間開離などがあります。
骨格系の病変では、漏斗胸や鳩胸、細長い指(クモ状指)、本来は成長に従ってゆっくりと一体化していく頭蓋骨のピースが成長しきらないうちに癒合してしまう頭蓋骨早期癒合などがおこります。
さらに精神的な発達の遅延がみられることもあります。
マルファン症候群との類似がいわれますが、マルファン症候群に特徴的な水晶体の偏位や長身はみられません。

主な合併症

血管の内膜が裂けて中膜に血液が流れ込む大動脈解離による急性の循環不全、大動脈弁がうまく機能しないことによる心不全などがおこります。
その他、脳動脈やその他の中小動脈などあらゆる動脈に動脈瘤が発生しやすくなります。LDSによる動脈瘤は他の病気による動脈瘤とくらべて、比較的若い層でも多くおこります。
また、斜視や側湾症(背骨が左右に曲がってしまう状態)などもおこしやすいといわれています。

治療法

それぞれの症状に応じて内科的、外科的な治療を行います。
大動脈瘤や大動脈解離に関しては、内科的に血圧降下剤を使用して循環不全をおこさないようにコントロールします。
心不全や解離の予防、急性解離などがある場合には弁置換などの外科的手術を行います。
また骨格異常などに関しても整形外科的な手術で対応します。

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